がんと向き合う

急性白血病の治療~移植をおこなうかどうか?~

2013年10月10日

急性白血病の症状を発症することには、患者さんの体の中のがんの細胞は1兆個にまで増えていると言われています。化学療法は、そのがん細胞の数を減らしていくために行います。骨髄検査でがん細胞(=白血病細胞=芽球)が5%以下まで減った状態を寛解といい、寛解を目指して一番初めに行う抗がん剤治療を寛解導入療法といいます。

寛解に入ると、体の中の異常な細胞が減って正常造血が回復するため、症状は軽快しますが、まだたくさんの白血病細胞が体の中には残っています。それを減らして治癒に導くために、地固め療法や移植というような寛解後療法が必要になります。

同じ急性白血病といっても、いろいろなタイプのものがあり、その性質により、抗がん剤の効き方、つまりご病気の性格は大きく異なります。

それぞれの白血病のタイプや患者さんの年齢を考えながら、再発のリスクを判断し、移植を行うかどうかを検討していくことが重要です。低リスク群以外の急性白血病の患者さんには、第一寛解期のうちに移植をした方が、再発率が減ることは世界的にも多くの研究により報告されていますが、治療選択は患者さんのご年齢やドナーの種類もよく考慮して考える必要があります。

私たちは、患者さん方の治療後の生活の質(QOL)を取り入れた上で、移植を推奨するかどうかの研究も現在行っています。

プロフィール

黒澤 彩子さん(くろさわ さいこ)

国立がん研究センター中央病院
造血幹細胞移植科

1999年 東北大学医学部卒業
1999年 武蔵野赤十字病院 初期研修
2001年 東京都立墨東病院 内科後期研修
2003年 東京都立墨東病院 血液内科医員
2007年4月 国立がん研究センター中央病院 造血幹細胞移植科チーフレジデント
2009年4月 国立がん研究センター中央病院リサーチレジデント
2010年11月 国立がん研究センター中央病院 造血幹細胞移植科医員